
自分の才能に絶対の自信を持つ藤野と、引きこもりの京本。
田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、結びつけたのは漫画を描くことへのひたむきな思いだった。
月日は流れても、背中を支えてくれたのはいつだって――。
唯一無二の筆致で放つ青春長編読切。
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自分の才能に絶対の自信を持つ藤野と、引きこもりの京本。
田舎町に住む2人の少女を引き合わせ、結びつけたのは漫画を描くことへのひたむきな思いだった。
月日は流れても、背中を支えてくれたのはいつだって――。
唯一無二の筆致で放つ青春長編読切。
コメント
特に子供の頃は、みんなと「違う」ことが不安だったし、仲間はずれにされるのではないかと怯えることもありました。
あの時代に、もっと自分の好きなものを意識して、しっかりと好きと言えていれば、何か変わっていたかもしれないと思ってしまいます。
マイノリティを認める動きがあり、自分らしさを認めてもらえる時代でもあるけれど、その一方でSNSを通じて、自分達と違うことを叩きやすくなった時代です。
少しでも多くの子供たちが、仲間を見つけて自分らしく過ごせるといいなと思いました。
一コマ一コマとあのころの日常を取り戻すように、机に向かい再起する主人公の背中は美しかったです。
蓋を開けてみると、漫画創作への情熱と地方都市に暮らす少女達の青春、そして京都アニメーション放火事件への悼みと訣別を描いたと思われる非常にメッセージ性の強い作品であった。
また、藤本タツキ先生自身の体験をも織り込んだ自伝的側面も見受けられる。
タイトルの『ルックバック』には複数の意味が込められており、その意味を読み解いていく程に作品の真価に驚かされる。
・「後ろを見ろ」…「過去を見ろ」と同義、主人公の〈藤野〉と〈京本〉の名前を組み合わせると「藤本」になる事から、二人の姿は先生自身の過去のエピソードを投影したものでは。
特に藤野の小学生時代、クラスの中では自分が一番絵が上手いと思っていたらもっと上手いやつが現れた時の衝撃を受けた顔(p7)は必見。
「中学で絵描いてたらさ…… オタクだと思われてキモがられちゃうよ…?」(p18)というクラスメイトのセリフのリアリティよ。
それでも漫画を辞める事は出来なかったのだが。
小学生時代の藤野は机に向かって漫画を描いている時に色んな人に声を掛けられても一コマも振り向いておらず、揺れ動きながらも漫画を離れられなかったという表現ではないか。
だが、京本からの呼び掛けには振り向くのだが。
・「背中を見ろ」…p83にそのまんまセリフがあり。
藤野が相方である京本にかけた言葉であり、世の漫画家を志す後進たちにも向けた言葉では。
天才肌と評される事が多い藤本タツキも決して一日で成った訳ではなく、ひたすらに積み重ねた練習の結果であるという激励と自負を込めたメッセージかと。
つまりは「とにかく描け!
バカ!
」(p11)という事を伝えたいのではないか。
アニメ化が決まる程の人気になり一気に版が重なる様子と時間の経過をスマートに描いたp74~p75の流れは素敵。
・「背中を見て(る)」…本作が奥深いのは途中に京本目線のパラレル軸が差し込まれる事にもよる。
京本は対人関係が不得手で小学校より不登校であったが絵を描くのは好きで、一貫して藤野を「漫画の天才」(p39)と評すファンであり続けながら相方として二人で作品を描く間柄であり、けど最終的に「一人の力で生きてみたいの…」(p70)とそれぞれの道を進み出すのだが、その後…。
藤野の背中を見続け、背中に藤野のサインが入ったドテラを宝物にしていた京本。
そして最後には藤野の背中をそっと押し出す存在に。
・「変わらない過去より未来に目を向けよう」…これは自力では気付けず。
知人と喋っていて教えてもらった隠しメッセージ。
一コマ目と最後のコマに書かれたワードを使うとある熟語が出来上がり、これこそが本作を本作たらしめる核。
配信日の2021年7月19日は京アニ放火事件より丸2年を迎えた日であり、出来上がる熟語はマンチェスターで発生したISによるテロ事件へのアンセムとして歌われた曲「Don’t Look Back In Anger」を指すという事。
追悼の意を表すと共に、感情的にならず、落ち着こうぜ。
という意味合いにも取れるという。
ジャンプ+での配信当初はこの事件を示したコマにすぐさま修正が入り、単行本版で再修正が入った事も話題に。
映画ネタは残念ながらほとんどわかりません…
が、難しい事を知らずとも、青春譚としても完成されているように感じた作品。
1刷
2023.7.1
僕たちは凄いものを目撃しているのかもしれない
今のジャンプで、というレベルではなく、漫画史に残る優れた作品というレベルで。
もっと言えば、これと同程度の作品を作ることは難しいだろうなとも正直思ってた、のに。
この作品ですよ。
個人的には短編と長編の違いはあるものの同レベル以上のものだと思う。
我々は新たな天才の誕生を目の当たりにしているのかもしれない。
先に短編で作品に込めた想いを読んでいてよかった。
読んでなくてもきっとよかった。
こんな想いができる漫画が生まれてるのね、漫画も読まなければ…